カメオのブローチは、多くの女性に人気のジュエリーです。

そこで、素朴な疑問ですがシェルカメオとメノウカメオと同じ彫りのブローチがあります。

この2種類のカメオのブローチでは、どちらが価値があるのでしょうか?

カメオは彫る作家でも価値が違いますが、同じ人の作品と仮定します。

では、同じぐらいのカメオでは、シェルカメオとメノウカメオで価値が高いのは?

果たしてどちらなのでしょうか?

 

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シェルカメオとメノウカメオの意味や違い

そもそも「カメオ」とは?

カメオ(英:Cameo)とは、宝石、メノウ、大理石、貝殻などに浮き彫りを施された装飾品や工芸品の事をいいます。

正確には素材の表面に浮き彫りをしたものを「カメオ」といい、沈め彫りを施したものは「インタリオ」として区分しています。

カメオとインタリオをまとめて「カメオ」と呼ぶ場合も多いですが、浮き彫りのカメオと、沈め彫りされたカメオでは大きな違いがあります。

また、カボッションカットされた石の表面に女性の肖像画を印刷をしたものも「カメオ」として販売されていますが価値はありません。

カメオを宝石に彫刻した始めは、メソポタミア文明で、そこでは大理石を円筒状にして、それに紋章が彫られました。

それを転がすことで、長い押し型が得られ、これがカメオ(宝石・琥珀・貝に浮き彫りしたもののこと)の起源だと言います。

カメオは古代ギリシャで発達した技法の一つで、古代ギリシャや、古代ローマでは、神話や日常生活などをテーマにしたカメオが多く作られています。

宝石のカメオでは、アメシスト、カーネリアン、ガーネット、トパーズ、水晶などを材料にしたカメオが多量に造られたそうです。

古代ローマの宝飾品や装飾品の流行の主体はカメオで、神話に因んだ人物や英雄の頭部などをモチーフにしたものが人気がありました。

主に、ブローチ、ペンダント、指輪として用いられたと言いますから凄い歴史のあるのがカメオです。

また、インタリオを施した宝石を指輪にはめ、印章用に盛んに彫られて使用されていたと考えられています。

シェルカメオとは?

シェルカメオは、日本ではカメオの素材として主に、マンボウガイ、トウカムリ、ホシダカラなどの厚い貝殻に浮き彫りを施したものを指します。

イタリアがシェルカメオの本場で、シェルカメオの産地として南イタリア、トーレ・デル・グレコ(Torre Del Greco)が世界的な生産地の一つととして有名です。

トーレ・デル・グレコはナポリの南部、地中海沿岸に位置していて、気候も温暖でとても環境の良い住ごしやすい街です。

近くには、ポンペイ遺跡で有名なベスビィオ火山や海岸線の美しさで観光名所のソレンドがすぐ近くにあり、海と山に囲まれた素敵な場所だと思います。

現在は、シェルカメオの殆どの彫刻作家たちは同市を活動拠点とした作品を制作していて、市内にはカメオ彫刻などを教えるアートアカデミーもあります。

イタリアには有名なカメオ作家が多くいますが、個人的には、カメオの巨匠、マエストロ・アニェエロ・ペルニーチ氏の作品が好きです。

以前に、私の経営していた宝石店で、マエストロ・アニェエロ・ペルニーチ氏をご招待してカメオの「実演」も披露しました。

マエストロ・アニェエロ・ペルニーチ氏の作品

メノウカメオとは?

メノウカメオは、主にめのう(瑪瑙)などの天然石にの縞模様を利用して浮き彫りを施したものを「ストーンカメオ」と呼んでいます。

ストーンカメオは、ドイツに多くのカメオ細工師の作家がいて、私はとくに、ゲルハルド・シュミット氏(Gerhaed Schmidt)の風景画の作品が好きです。

ゲルハルド・シュミット氏の作品

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シェルとメノウと、どちらのカメオの価値が高いの?

カメオで、シェルとメノウ(ストーンカメオ)ではどちらが価値が高いのでしょうか?

正直なところですが、カメオは宝石店の商品種類の中でも非常に価値の分かりにくいジュエリーの一つです。

一般的な宝石の、ダイアモンド、ルビー、サファイアなどの天然石の宝石価値とは違い、カメオの素材は貝や多くはメノウです。

同じくらいの彫りだとどちらが価値があるのか?

答えは「どちらとも言えない!」という事になります。

カメオの価値というよりは、カメオを作品にする、カメオ作家の人気や作り手の技術の高さが評価基準だと思います。

カメオは大変奥の深い宝飾品の一つで、多くは芸術的な要素が評価や価値となり、多くの愛好家に人気のある品物ではないでしょうか。

シェルカメオの種類

シェルカメオの材質は当然ですがシェル(貝)で、冒頭で貝の種類は書きましたが、シェルの材質は色が2層あるほら貝をイメージすると分かりやすいかもしれません。

カメオの材料には大きく分類するとピンク系を省きますと2種類あり、オレンジ系のものと、茶色系のものが代表的なものです。

どちらも彫刻の原産地は「イタリア」です。

■ オレンジ色

オレンジ色のものは、材質は比較的に柔らかくカメオの特徴である一層目と二層目の色合いがとても似ているので濃淡がハッキリしていません。

作品では、少し離れて見ますと図柄が少々ぼやけた感じがして見えますが、色合いが暖色系ですから優しいイメージで好まれています。

■ 茶色

こちらの材料は多くのカメオ作家が利用していて、茶色の貝は素材が硬く希少性もあり材料費が高額となります。

茶色の貝を彫刻刀で彫りながら作品を制作しますので、材料が高額なために熟練した作家が彫っているのが現状です。

カメオ作家の初心者や、駆け出しのカメオ作家は柔らかくて材料費の安いオレンジ色の貝を使い技術力を高めていきます。

シェルカメオは、材料の貝の表面がデコボコしていて均一でないので、機械では生産されなく手彫りの作品が主流となります。

メノウカメオの種類

メノウカメオの彫刻の原産国は「ドイツ」です。

メノウの代表的なのは、8月誕生石のサードオニキスですが、メノウにも種類があります。

正式には、色が全般に一様なものをカルセドニー(玉髄)と言い、縞模様のあるものをメノウ(アゲート:瑪瑙)と言います。

縞瑪瑙は、白い層と黒い層が交互に混ざって縞(帯)状の美しい模様を見せているのが代表的な縞瑪瑙となります。

ちなみに、サードオニキスの場合は、白い層と、黒い層の部分が赤褐色となります。

メノウカメオ(ストーンカメオ)の場合は、半貴石の多色層を持つ天然の高価な石を使用する場合や、染色した比較的に安価なメノウを使用したものもあります。

メノウは硬いので、シェルカメオと違い彫刻刀では彫る事が出来ませんから特殊な技術が必要となります。

メノウカメオの製作には「手彫り」「機械彫り」がありますが、当然ですが手彫りはオリジナル作品になります。

機械彫りは、一枚目を彫るのは作家の手彫りで、1枚目を複写して原版を作り機械を使って彫ったもので、大量生産も可能です。

機械彫りでも原版は高価で、2枚目以降の機械彫りで出来上がったメノウカメオは比較的にお手頃でお求め出来るのが特徴かもしれません。
 

まとめ

シェルカメオであれ、メノウカメオ(ストーンカメオ)の価格は、カメオの材料となる素材の価格や材料の品質で違います。

同じ材料を使用した作品でも、初心者の作品と、熟練者の作品は大きく違ってきます。

これは、絵画や彫刻でも言える事で、カメオでも作家の技量で大きな価格の違いが出来てしまいます。

カメオはアート作品ですから、作家の芸術的なセンスや、技量、彫刻の良し悪しなど、女性の人物像でしたら表情の良さにも違いがでます。

髪の毛の細やかさや、美しさや躍動感、背景との一体感やコントラスト、手の美しさの表現の仕方などの立体感が見る人をどれだけ魅了指せるかという事です。

年代物のカメオの作品であれば、アンティーク作品として評価され、現代作品では、カメオ作家の有名度も価格に反映されます。

お気に入りのカメオのブローチは、豪華な額の中に入れて飾りますと、お部屋のインテリアとなりとても素敵です。

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